株主総会とは|流れ、権限、成立要件や種類などをわかりやすく解説

株式会社においては、会社の経営にあたって重要となる事項については、株式会社の出資者である株主による「株主総会で決議」されることになります。

株主総会の種類や決議の方法などについては、会社法や定款のルールに従わなければなりませんので、会社の経営を行うにあたっては、株主総会についての正しい知識を持っていなければなりません。

今回は、株主総会の目的、内容、法律、権限、成立要件、種類、議決方法、開催までの流れなどについて解説します。

1. 株主総会と法律

株主総会とは、どのようなものなのでしょうか。以下では、株主総会に関する基本的な事項と法律、株主総会開催の流れについて説明します。

1-1. 株主総会の目的

株主総会とは、株式会社における最高の意思決定機関のことです。会社法では、株主総会と取締役は、必ず置かなければならない機関であると定められています(会社法295条、326条1項)。

株主総会は、株式会社の出資者である株主が集まり、役員の選任、定款の変更、合併・会社分割、事業譲渡など、会社にとって重要な事柄を決議する場であり、一定の例外を除いて、必ず開催しなければならないものです。

株主総会は、株主総会に参加した株主によって会社の基本的意思決定を行うことによって、株主としての権利を行使し、その利益を図ることを目的としています。

1-2. 株主総会の流れ

株主総会は、以下のような流れで開催します。以下では、株主総会のうち「定時株主総会」の流れについて説明します。

①計算書類などの作成・提出

株主総会の開催に先立って、会社は、各事業年度における計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)および事業報告ならびにこれらの附属明細書を作成し、監査役設置会社においては、監査役の監査を受けなければなりません。

②株主総会招集決定

取締役会を設置していない会社では取締役が、取締役会を設置している会社では取締役会が「株主総会の招集を決定」します。

その際には、株主総会の日時・場所、株主総会の目的である事項(議題)を定め、また株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法によって議決権を行使することを認めるときにも、その旨などを定めなければなりません。

③株主総会の招集通知の発送

株主総会を招集するためには、株主総会の日の2週間前までに、書面などによって株主に対して招集通知を発送しなければなりません。

なお、非公開会社においては招集通知の発送は、原則として株主総会の日の1週間前までとされており、取締役会を設置していない会社はこれを下回る期間を定款で定めることができます。

この招集手続きは、株主全員の同意があるときには省略することもできます(会社法300条)。

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④株主総会の開催内容

株主総会当日は、以下のような流れ・内容で進行するのが一般的です。

  • 議長による開会宣言
  • 出席株主数、議決権個数および定足数を満たしていることの報告
  • 監査役による監査報告
  • 事業報告・決算書類の報告
  • 議案事項の上程
  • 質疑応答
  • 議決
  • 閉会宣言

⑤議事録の作成と保存

株主総会終了後は、速やかに書面などをもって議事録を作成し、本店においては株主総会の日から10年間、支店においては株主総会の日から5年間保存しなければなりません。

なお、議事録には、開催日時・場所、出席した役員や議長の氏名などのほか、議事の経過の要領およびその結果を記載することが必要となります。

2. 株主総会の権限

株主総会にはどのような権限があるのでしょうか。株主総会の権限は、会社に「取締役会」が設置されているかどうかによって異なりますので、以下では、それぞれ分けて説明します。

2-1. 取締役会を設定していない会社の場合

株主総会は、「会社の最高の意思決定機関」であるといわれてみます。

取締役会を設定していない会社の場合、原則として、会社法に規定する事項および会社の組織、運営、管理その他会社に関する一切の事項について決議することができます(会社法295条1項)。

2-2. 取締役会を設置している会社の場合

一方、取締役会設置会社においては、株主総会の「権限が限定」されており、株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り、決議することができます(会社法295条2項)。

これは、会社の経営の機動性・迅速性を確保するため、業務執行の決定を原則として取締役会に委ねることにしたものです。

また、取締役会設置会社においては、株主総会は、原則として、招集者が決定した会議の目的である事項以外の事項について、決議することができません(会社法309条5項)。

3. 株主総会の種類

株主総会には、「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があります。

3-1. 定時株主総会

定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければなりません(会社法296条1項)。

したがって、事業年度を1年とする通常の会社においては、毎年1回、定時株主総会を招集することになります。

定時株主総会では、計算書類および事業報告の承認・報告、剰余金の配当、役員の選任など定常的な事項の他、必要に応じて定款の変更、役員報酬、合併の承認などが決議されます。

3-2. 臨時株主総会

臨時株主総会は、会社の合併や分割など次の定時株主総会の開催を待っていては時機を失する場合や緊急に決議をすべき事項が生じた場合に招集されます。

召集時期や回数などには制限はありませんので、必要場ある場合には、いつでも招集することができます。

4. 株主総会の成立要件

株主総会の決議の方法には、「普通決議」、「特別決議」、「特殊決議」の3種類があります。

4-1. 普通決議

普通決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、その出席株主の議決権の過半数の賛成があれば決議として成立する方法です(会社法309条1項)。

会社法の規定または定款に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議は、基本的には普通決議によって行われます。

上記の普通決議の要件は、定款をもって加重または軽減することが可能であり、たとえば、定足数または決議に必要な議決権の数を引き上げることや定足数を軽減したり、排除することも可能です。

ただし、過半数の賛成の要件を引き下げることはできません。

実際にも、定款をもって定足数を全く排除している会社が多いといえます。

なお、普通決議事項の中でも「役員の選任・解任の決議」は、特に重要になります。

そのため、定款の規定によっても定足数を、議決権を行使できる株主の議決権の3分の1未満で足りるとすることはできません(会社法341条)。

4-2. 特別決議

特別決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、その出席株主の議決権の3分の2以上にあたる多数の賛成(定款でこれを引き上げることは可能)があれば決議として成立する方法です(会社法309条2項)。

なお、定足数については、定款で引き下げることは可能ですが、決権を行使できる株主の議決権の3分の1未満に引き下げることはできません。

会社法上、特別決議を要する主な事項としては、以下のものが挙げられます。

  • 譲渡制限株式の会社による買取り(会社法140条2項)、指定買取人の指定(会社法140条5項)
  • 自己株式の相対での買受け(会社法156条1項、160条1項)
  • 全部取得条項付種類株式の取得(会社法171条1項)
  • 相続人に対する自己株式の売渡請求(会社法175条1項)
  • 株式の併合(会社法180条2項)
  • 募集株式の募集事項などの決定(会社法199条2項、200条1項、202条3項・4項、204条2項)
  • 募集新株予約権の募集事項などの決定(会社法238条2項、239条1項、241条3項・4項、243条2項)
  • 累積投票により選任された取締役の解任・監査役の解任(会社法339条1項)
  • 役員などの責任の軽減(会社法425条1項)
  • 資本の減少(会社法447条1項)
  • 株主に金銭分配請求権を与えない現物配当(会社法454条4項)
  • 定款の変更(会社法466条)
  • 会社分割・合併・株式交換・株式移転、事業の全部または重要な一部の譲渡、解散(会社法467条1項、471条3項、473条、783条1項、795条1項、804条1項)
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4-3. 特殊決議

決議事項によっては、上記の特別決議よりもさらに厳格な要件を要求されるものがあります。

そのような決議を「特殊決議」といいます。

会社法309条3項の特殊決議では、議決権を行使することができる株主の半数以上の株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要になります。

また、会社法309条4項の特殊決議では、総株主の半数以上の株主が出席し、その出席株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要になります。

5. まとめ

株主総会は、会社の意思決定における最高機関であり、重要な意思決定がなされる場となります。

株主総会の開催にあたっては、招集手続に始まる各種手続についての遵守、株主総会成立の要件、株主総会の議事運営、議事録の作成・保存など行わなければならないことが多岐に亘ります。

会社法で定められた事項を遵守しない場合には、株主総会の決議が無効になったり取消されたりするリスクがあり、円滑な会社運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

そのため、法律に詳しい弁護士などの専門家のサポートを受けながら、万全の準備をしていくことが必要になるでしょう。

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