著作権侵害トラブル|損害賠償の相場・示談のポイントなどを解説

近年、「自社サイト」において企業情報の発信などを行っている企業が増えてきました。

インターネット上で、他人が作成した記事や画像などを容易に入手することができるようになったため、そのような記事や画像を参考にしたり、そのまま掲載しているということも少なくありません。

しかし、そのような行為は、場合によっては「著作権侵害」となり、高額な賠償を命じられたり、刑事罰を科されることもあります。

今回は、企業が知らないうちに著作権侵害行為をしないために、どのような場合に著作権侵害にあたるのか、仮に著作権侵害にあたる行為をしてしまった場合にはどのように対処すればよいのかについて解説します。

 著作権についての基礎知識

まず著作権侵害を知るにあたって、まず「著作物」は何か、「著作権者」は誰か、どのような「著作権」が問題となっているかを検討する必要があります。

1. 著作権とは?

著作権とは、小説、音楽、映画といった芸術作品やエンターテイメントと作品の作者や製作者に認められる独占的権利のことをいいます。

難しい言葉で言うと、創作的表現物(著作物)を創作した者(著作者)に与えられる、複製権、翻訳権、公衆送信権など一定の種類の権利の総称のことです。

つまり、著作権という権利があるというよりかは「さまざまな権利の総称が著作権」であると覚えておくとよいでしょう。

著作者に独占的権利を認めるということは、著作者自身が著作物を自由に利用できる反面、著作者の許諾を得ないでこれらの権利を行使すると「著作権侵害」という違法行為となり、民事上、刑事上の責任を負うことになります。

なお、著作権は、著作者人格権と著作財産権に分けられます。下記内容を簡単にリストアップしましたので、ご参考ください。

①著作者人格権

  • 公表権(18条) 著作物を公表するかどうか、どのような方法で公表するかを決定する権利
  • 氏名表示権(19条) 著作物を公表する際に著作者名を表示するかどうか、どのような方法で表示するかを決定する権利
  • 同一性保持権(20条) 著作物やその題号を意に反して改変されない権利
  • 名誉声望保持権(113条6項) 著作者の名声や声望を害する方法により著作物を利用されない権利

②著作財産権

  • 複製権(21条) 著作物を印刷し、写真に撮り、コピー機によって複写するなど著作物を複製する権利
  • 上演権・演奏権(22条) 演劇や演奏会のように、著作物を多くの人々に直接聴かせたり、見せたりする権利
  • 上映権(22条の2) フィルムやDVDなどに収録された著作物(映画、写真、絵画など)を、多くの人々に見せるためにスクリーンなどで上映する権利
  • 公衆送信権(23条1項) テレビ、ラジオ、有線放送、インターネットなどで著作物を送信する権利
  • 公の伝達権(23条2項) テレビ、ラジオ、有線放送、インターネットなどで著作物を伝達する権利
  • 口述権(24条) 言語の著作物(小説、詩など)を朗読などの方法で多くの人々に伝える権利
  • 展示権(25条) 美術や写真の著作物を多くの人々に見てもらうために展示する権利
  • 頒布権(26条) 上映して多くの人々に見せることを目的として作られた著作物(劇場型映画など)を販売したり、貸したりする権利
  • 譲渡権(26条の2) 映画を除く著作物やその複製物を多くの人々に販売などの方法で提供する権利
  • 貸与権(26条の3) 映画を除く著作物やその複製物を多くの人々に貸し出しする権利
  • 翻訳権・翻案権(27条) 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などの方法で二次的著作物を作成する権利
  • 二次的著作物の利用権(28条) 自分の著作物から創られた二次的著作物の利用について原作者が持つ権利

2.著作物とは?

著作物とは、下記のように定義されてます。

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)

この定義からわかるように、著作物といえるためには、①創作性のある、②表現であることが必要になります。

著作権法10条1項では、著作物の具体例として以下の9個を挙げています

・小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
・音楽の著作物
・舞踊または無言劇の著作物
・絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
・建築の著作物
・地図または学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
・映画の著作物
・写真の著作物
・プログラムの著作物

3.著作者とは

著作者とは、「著作物を創作する者」(著作権法2条1項2号)をいいます。

小説や絵画などを一人で作成する場合には、著作者は明確です。

しかし、現代においては、映画、ゲームなどの著作物については、著作物の着想から完成まで複数の者の関与により完成されることが多いといえます。

この場合であっても、著作物が思想感情の創作的表現物である以上、創作的表現に関与していなければ、著作者にはなりません。さらに、法人などの業務として創作活動が行われた場合、従業員などは著作者にはならず「法人などが著作者」になります。

著作権侵害にあたる行為とは?

著作権の内容がわかったところで、どのような行為が著作権侵害になるかをみてきましょう。

著作権侵害の要件

著作権侵害とは、著作権法に規定されている著作権を「無権限で利用」することをいいます。

そして、著作権侵害(特に、複製権や翻訳権侵害)の有無については、①依拠性と②類似性によって判断することになります。

依拠性とは、「先行する著作物に接触する」ことをいいます。結果として似たような表現となったとしても、先行する著作物に依拠していない場合には、著作権侵害とはなりません。

類似性とは、「先行する著作物と実質的に同一または類似」していることをいいます。先行する著作物にアクセスしてアイデアを模倣しても表現を複製・翻案しなければ著作権侵害にはなりません。

判例では「後行作品をみて、先行作品の表現上の本質的特徴を直接に感得できるか」否かで判断するとしています。

代表的な著作権侵害の事例

著作権侵害になる主な行為としては、以下のようなものがあります。

①インターネット上の文章や写真を無断でコピーし、自社サイトに転用し、自社で作成したものであるかのようにすること
②会社が記事の執筆を依頼したライターが、インターネット上の記事をコピーして、会社がそれに気付かずに記事を公開してしまうこと
③キャラクターやロゴを無断で使用してしまうこと
④使用を許されている文章や写真を勝手に改変してしまうこと
⑤楽曲を無断でコピー演奏して、動画サイトなどに投稿すること
⑥新聞記事の見出しを無断で転載すること

著作権侵害の通知が来た!どうすればいいのか?

弁護士事務所から通知が来た場合の対処法

自社サイトにおいて、他社の著作権を侵害するようなコンテンツが含まれていたような場合には、著作権者または著作権者から委任を受けた弁護士から内容証明などで通知書が届くことがあります。

通知書では、侵害行為の停止や損害賠償を求められることが多いです。

このような通知書が届いた場合には、まず現状確認をします

  • 指摘のあった自社サイトのコンテンツを検証し、本当に著作権侵害行為があったかどうかを確認
  • サイトを管理する社員から事情を聴いたり、外注に出している場合には、外注先への聞き取り
  • その結果、自社サイトのコンテンツが著作権侵害にあたると判断した場合には、直ちに、当該コンテンツを削除

そして、下記のような通知書への回答をします、

  • 著作権侵害行為に至った経緯の説明と謝罪
  • 削除をしたことと今後の再発防止策について説明

よほど悪質な事案でない限りは、著作権侵害を受けた側としても、著作権侵害行為がなくなればそれでよいと考える場合が多いので、損害賠償まで求められないことも多いです。

相手が納得するようであれば、示談書を交わして解決となります。

賠償しろと言われた!著作権侵害の損害賠償金の相場は?

著作権侵害の損害賠償金については、実際に著作権者の受けた損害や使用料相当額によって変わるため、一概に金額を提示することは難しいです。

もっとも、インターネット上の記事や画像を無断で転載した事案では裁判所によって「100万円程度」の損害賠償が命じられたケースがあることから、記事や画像の無断転載の事例では一つの目安になるでしょう。

①東京地判平成24年12月21日

旅行業を営む会社(被告)が自社ブログに、ハワイ在住の職業写真家が撮影した写真を無断で転載したため、原告が被告に対し、約75万円の損害賠償を求めたました。

この事案では、裁判所は「約15万円の損害賠償」を命じました。

②東京地判平成27年4月24日

インターネットによる投資等の情報提供サービスを提供する会社(被告)が、FX・株式・海外投資などの資産運用をテーマにコンテンツを提供する他社(原告)のブログを無断転載したため、原告が被告に対し297万円の損害賠償を求めた事案がありました。

この事案では、裁判所は「100万円の損害賠償」を命じました。

警察に通報したと言われた!著作権侵害の刑事罰

著作権を故意に侵害した場合には、民事上の責任のほかに、刑事上の責任を負う場合があります。

著作権侵害の法定刑としては、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」とされています。

著作権侵害は、親告罪といって、著作権者からの告訴がなければ起訴することができない犯罪のため、悪質なケースでは、著作権者から「刑事告訴」される場合があります、

その場合、上記の重い法定刑が科されることになります。

そのため、弁護士から著作権侵害を理由とする通知書が届いた場合には、放置することなく、誠意をもって対処するようにしましょう。

まとめ

著作権侵害をしてしまった場合には、民事上、刑事上の責任を問われることになりますので、普段から著作権侵害をしないように事前に対策をすることが重要です。

企業内でWEBコンテンツ制作についてのガイドラインを作成し、社内研修などで従業員への周知を図ることも有効な手段となります。

もし、著作権侵害行為をして弁護士から通知書が届いたとしても、適切に対応をすることで被害を最小限に食い止めることもできます。

事前・事後の著作権侵害についてお悩みの際には、専門家である弁護士に相談をするとよいでしょう。

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